moku journal vol.2 冬支度

外に出て冷たく澄んだ空気を感じるたびに、ついこの前まで半袖だったのにと未だに季節の移り変わりについて行けていない自分がいる。
寒いのはどうしても苦手だが、これからの季節はあたたかいココアやチャイを飲むと芯から暖まり、マグカップで手もぽかぽかになるのが幸せだ。
衣替えをすると去年編んだマフラーが出てきた。去年の今頃は編み物が自分の中で流行っていたが、今はやっていない。編み物をすると無心になれる。その時の気分に合った音楽を聴きながら編むことが私の中で心を穏やかに保つ方法のひとつである。完成したものたちは網目が外れたところがあったりしても、自分で作ったものだから愛着が湧いて、全部良しとする。たくさん余っている毛糸たちを見て、そろそろ再開しようかという思いが心の片隅でふつふつとしている。

コロナが落ち着いてきたため、先日久しぶりに帰省した。
帰省している間、山へ行くと木々は紅葉しており、冬の準備を始めていた。
秋になると、植物たちは紅葉や落葉など変化をし始める。
植物は、寒い冬を越すために紅葉や落葉によりエネルギーを節約し、季節の変化に適応している。
その景色は当たり前のことのようでありながら、誰かが植物へ合図をした訳でもないのに毎年同じ時期にそのような変化が起こるのは不思議である。

植物は春から夏にかけては緑色だ。そもそもなぜ緑色なのかというと、植物の葉は日中に、二酸化炭素・水・光を使って養分と酸素を作る光合成という活動をしている。このとき、クロロフィル(葉緑素)という色素が光を効率良く吸収するために働いている。クロロフィルは、光の3原色(赤、青、緑)のうち、おもに青と赤の光を吸収し緑の光を反射するため、植物は緑色に見える。
寒くなると、日照時間が減り、太陽の光も弱まるため光合成で作る養分が減る。少ない養分に合わせて、植物は葉の活動を低下させていく。そのために、葉の根元に「離層」という壁のようなものを作り、水や養分の行き来を減らす。そして葉のクロロフィルを分解して養分に変え、幹に送って活動のエネルギーとして利用する。そうするとクロロフィルが減るため、緑色が薄くなる。
葉にはクロロフィル(緑色)の他にもアントシアニン(赤色)やカロテノイド(黄色)の色素がある。赤色や黄色はクロロフィルが多いと緑色に隠れて見えないが、クロロフィルが減って緑色が薄まると目立つようになる。
アントシアニン(赤色)は、紫外線を吸収する力がある。秋になって光合成の活動が弱くなり、太陽の光が強すぎるときに、光をやわらげる働きをしている。

紅葉の他に落葉する植物もある。
葉の根元にできる離層(水や養分の行き来を減らす働きをする)では、細胞壁の成分を溶かす酵素がつくられる。この酵素の働きで細胞壁が溶けて弱くなると、根からの水分の補給もなくなり葉が落ちる。そのため、葉の根本がちぎれて葉の部分が落ちて落葉する。

落ち葉を踏む音が聞きたくて、公園を歩いているとつい落ち葉の上を選んで歩いてしまう。
落ち葉を見ながら歩いていると、赤色と黄色が混ざったような色合い、グラデーションになっている葉、誰かが色を塗ったような模様など様々でこれらが自然につくられるのは神秘的で美しい。
私の地元は自然が豊かで、山に囲まれて育った。東京に住むようになってから、自然との触れ合いが心や身体を癒してくれていたことに気が付いた。東京にいるとビルに囲まれ、緑も少なく、人の多さに息苦しさを感じる時がある。都会で生活していると日常の中で自然に触れる機会は少ないが、休みの日などに予定を立てずにのんびり公園へ出かけたり、自然を感じる場所へ足を運ぶことで、心が充電されたような、満たされた良い気分になるのだ。